「人手不足と言われているのに、なかなか内定が決まらない」
転職活動をしていると、そんな疑問を感じることはありませんか?
ニュースでは「人手不足が深刻」「企業の採用難」「人手不足倒産が過去最多」と報じられています。
ところが、実際に仕事を探してみると、
- 応募しても書類選考で落ちる
- 面接を受けても内定が出ない
- 求人はたくさんあるのに、希望条件に合う仕事がない
- 「未経験歓迎」と書いてあるのに、実際には経験者が優先される
- 年齢を重ねるほど応募できる求人が減ったように感じる
ということがあります。
「企業は本当に人手不足なの?」
そう思ってしまうのも無理はありません。
実は、「人手不足」と「誰でも採用される」は同じではありません。
2026年のデータからも、そのことが見えてきます。
2026年度上半期の「人手不足」倒産は過去最多

東京商工リサーチの調査によると、2026年度上半期(4~9月)の「人手不足」関連倒産は240件。
前年同期の205件から17.0%増加し、調査開始以来、年度上半期として過去最多となりました。
さらに注目したいのが「人件費高騰」です。
人手不足倒産240件のうち、人件費高騰によるものは130件。
前年同期比75.6%増と大きく増え、「人手不足」倒産の半数以上を占めています。
つまり企業側では、
「人が採用できない」
だけでなく、
「人を採用したいけれど、人件費を負担できない」
という問題も深刻になっているのです。
「人手不足なのに採用されない」のはなぜ?

ここが、転職活動をしている人にとって一番気になるところではないでしょうか。
人手不足なら、もっと簡単に採用されてもよさそうです。
しかし、企業が求めているのは単純な「人数」ではありません。
自社が必要としている条件に合う人材が不足しているのです。
例えば、
- 特定の資格を持っている
- 実務経験がある
- 即戦力として働ける
- 特定の業界経験がある
- PCスキルがある
- 営業経験がある
- 専門的な技術を持っている
- シフト勤務ができる
- 特定の時間帯に働ける
など、企業によって求める条件は違います。
そのため、
「人手不足=応募者なら誰でもいい」
ということにはなりません。

求人が多いのに「自分に合う仕事」が少ない理由

もう一つの問題が、求人のミスマッチです。
世の中にはたくさんの求人があります。
しかし、そのすべてが自分に合うとは限りません。
例えば、
「正社員で働きたい」
と思っていても、
- 勤務時間が合わない
- 通勤距離が長い
- 給与が希望に届かない
- 土日勤務が必要
- 残業が多い
- 転勤がある
- 経験や資格が必要
- 年齢やキャリアとの相性が合わない
などの条件があります。
企業側にも、
「採用したいけれど、条件に合う人が応募してこない」
という状況があります。
一方、求職者側にも、
「求人はあるけれど、自分が働きたいと思える求人がない」
という状況があります。
これが、人手不足なのに転職活動が難しく感じられる理由の一つです。

さらに深刻なのが「賃上げ疲れ」

2026年度上半期のデータで特に気になるのが、人件費高騰による倒産の増加です。
企業は人材を確保するために、給与を上げざるを得なくなっています。
しかし、中小企業にとって賃上げは簡単なことではありません。
給与を上げるためには、
「売上を増やす」
「利益率を上げる」
「価格を上げる」
などが必要になります。
ところが、原材料費や光熱費、物流費なども上昇しています。
そこに人件費まで上がれば、企業の利益は圧迫されます。
結果として、
人を採用したい → 給与を上げる → 人件費が増える → 利益が減る → 資金繰りが苦しくなる
という状況に陥る企業もあります。
「人手不足なのに、採用を増やせない」
という矛盾が起きているのです。
「人手不足」と「採用したい人材不足」は違う

転職活動をするときに、この違いを知っておくことはとても大切です。
企業が困っているのは、必ずしも「人の数」だけではありません。
欲しい人材が見つからないことに困っているケースもあります。
例えば、
「営業経験者が足りない」
「建設業の経験者が足りない」
「IT人材が足りない」
「介護職員が足りない」
「特定の資格を持つ人が足りない」
というケースです。
そのため、世間で「人手不足」と言われていても、自分の経験や希望条件と企業の採用ニーズが合わなければ、内定にはつながりません。

40代の転職では「経験」を強みに変える

40代になると、
「若い人のほうが採用されやすいのでは?」
と不安になることもあります。
確かに、求人によっては年齢よりも経験や即戦力を重視するケースがあります。
だからこそ、40代の転職では、
「何ができますか?」
に答えられるようにしておくことが重要です。
例えば、
「事務経験があります」
だけではなく、
「Excelでデータを管理していました」
「顧客対応から請求書作成まで担当していました」
「ECサイトの商品登録をしていました」
「SNS運用を担当していました」
「Web制作や画像作成の経験があります」
など、具体的に伝えることで、自分が企業にとってどんな役割を担えるのかが伝わりやすくなります。

「内定が出ない=自分に価値がない」ではない

転職活動が長引くと、
「自分は必要とされていないのでは?」
と落ち込んでしまうことがあります。
でも、内定が出ない理由はそれだけではありません。
企業側の採用事情や、
- 採用枠
- 他の応募者との比較
- 給与条件
- 勤務時間
- 通勤条件
- 必要な経験
- 社内の人員構成
- 採用計画の変更
など、さまざまな要素が関係しています。
つまり、
「不採用=自分の価値が低い」ではありません。
単純に「その会社が求めていた条件と、自分の条件が合わなかった」ということも十分あります。

企業も「採用できればいい」わけではない
企業側からすると、採用はゴールではありません。
採用した人に長く働いてもらう必要があります。
給与を払うだけではなく、
- 教育
- 社会保険
- 福利厚生
- PCや設備
- 採用活動のコスト
- 周囲の社員の教育負担
なども発生します。
だからこそ、人手不足だからといって、企業が誰でも採用するわけではありません。
むしろ人件費が上昇している今は、
「採用した人に長く活躍してもらいたい」
という企業側の意識が強くなる可能性もあります。
では、転職活動で何を見直せばいい?

なかなか内定が決まらないときは、闇雲に応募数を増やすより、一度立ち止まってみるのも大切です。
① 応募している求人を見直す
「自分が働きたい仕事」だけではなく、
「自分の経験が活かせる仕事」
にも目を向けてみます。
これまで当たり前だと思っていた経験が、別の業界では強みになることもあります。
② 希望条件に優先順位をつける
すべての条件を満たす求人を探すと、選択肢が狭くなります。
例えば、
絶対に譲れない条件
- 正社員
- 社会保険
- 土日休み
できれば叶えたい条件
- リモートワーク
- 高い給与
- 残業少なめ
というように分けてみます。
③ 「できること」を言語化する
40代の転職では、これまでの経験を具体的に整理することが大切です。
「長年やってきたけれど、特別なスキルではない」
と思っていることでも、企業から見ると価値のある経験かもしれません。
④ 求人票の「人手不足」という言葉だけで判断しない
「急募」「大量募集」「未経験歓迎」などの言葉だけで判断せず、
- なぜ募集しているのか
- 仕事内容は何か
- 給与はいくらか
- 残業はどのくらいか
- 長く働けそうか
- なぜ前任者が辞めたのか
なども確認しておきたいところです。
「人手不足なのに内定が出ない」は、矛盾ではない
2026年、企業の人手不足は確かに深刻になっています。
実際に、人手不足関連倒産は過去最多となりました。
しかし、
人手不足=誰でも採用される
ではありません。
企業が求める人材と、求職者が希望する働き方が一致しなければ、採用にはつながりません。
そして企業側も、人件費の上昇という大きな問題を抱えています。
だからこそ、今の転職市場は、
「仕事がない」
というより、
「人は必要なのに、条件が合わない」
というミスマッチが起きているのかもしれません。
内定が決まらないときこそ、自分の価値を見直してみよう
転職活動で不採用が続くと、自分自身を否定されたような気持ちになることがあります。
でも、企業の採用には、自分ではコントロールできない要素もたくさんあります。
「人手不足なのに採用されない」
という現実は、あなたに価値がないから起きているとは限りません。
むしろ今の転職では、
自分の経験と企業が求めているものを、どうマッチさせるか
が重要になっています。
求人の数だけを見るのではなく、
「自分は何ができるのか」
「どんな働き方なら長く続けられるのか」
「何を優先したいのか」
を整理する。
それだけでも、転職活動の見え方は少し変わってくるはずです。
人手不足の時代だからこそ、焦って仕事を決めるのではなく、自分に合った職場を見つけることも大切にしたいですね。



