「小規模企業共済とNISA、どっちを優先すればいい?」
自営業で資産形成を考えると、迷いやすいのがこの2つです。
どちらも将来のお金を準備するために使えますが、実は役割が大きく違います。
小規模企業共済は「自営業者の退職金」
NISAは「長期的な資産形成」
と考えると分かりやすくなります。
さらに40代で子育て中なら、老後資金だけでなく教育費や生活防衛資金も考えなければなりません。
この記事では、自営業者が小規模企業共済とNISAをどう使い分ければいいのかを解説します。
小規模企業共済とNISAの違い

まずは簡単に比較してみましょう。
| 小規模企業共済 | NISA | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 退職金・老後資金 | 資産形成 |
| 対象 | 個人事業主など | 原則18歳以上の国内居住者 |
| 税制メリット | 掛金が所得控除 | 運用益が非課税 |
| 元本保証 | ありではない | なし |
| 投資 | 基本的にしない | 投資信託・株式など |
| 節税効果 | 大きい | 所得控除はない |
| 向いている目的 | 退職金 | 長期資産形成 |
小規模企業共済は、個人事業主などが廃業・退職時の生活資金を準備するための制度で、いわば「経営者のための退職金制度」です。掛金は月1,000円~7万円で設定でき、全額が所得控除の対象になります。
一方、NISAは投資による利益を非課税にする制度です。現在のNISAは、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて年間最大360万円、非課税保有限度額は1,800万円です。
小規模企業共済の最大のメリットは「所得控除」

自営業者にとって、小規模企業共済の大きな魅力が税制メリットです。
支払った掛金は、小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除できます。
https://kyosai-faq.smrj.go.jp/skyosai/index.php?action=faq&artlang=ja&cat=17&id=47&utm
例えば、月2万円を掛けた場合、
2万円×12か月
=年間24万円
です。
この24万円を所得から控除できます。
月3万円なら、
3万円×12か月
=年間36万円
月5万円なら、
5万円×12か月
=年間60万円
です。
ただし、実際の節税額は所得税率・住民税率などによって変わります。
つまり、
「自営業で所得税・住民税を払っている人ほど、小規模企業共済の所得控除を活用するメリットが大きくなりやすい」
ということです。
NISAの最大のメリットは「運用益が非課税」

一方、NISAの魅力は投資による利益が非課税になることです。
例えば、NISA口座で投資した商品が、
100万円→150万円
になったとします。
通常の課税口座なら、運用益に税金がかかります。
NISAなら、一定の範囲内で運用益が非課税になります。
そのため、
「長期間運用して資産を増やしたい」
という目的にはNISAが向いています。
ただし、NISAは投資なので、元本割れする可能性があります。
ここは小規模企業共済との大きな違いです。

小規模企業共済 VS NISA、どっちがいい?

結論は、
自営業者なら、できれば両方を使い分けたい
です。
なぜなら、
→ 節税+退職金
→ 資産形成
だからです。
どちらか一方にすべてのお金を入れる必要はありません。
ただし、40代子育て世帯は「順番」が重要

ここが今回の記事で一番伝えたい部分です。
例えば、
40代・自営業・子ども小学生
という家庭なら、
いきなり小規模企業共済を月7万円、NISAを月10万円というような積み立て方はおすすめできません。
まず考えたいのは、
①生活防衛資金
↓
②近い将来必要な教育費
↓
③小規模企業共済
↓
④NISA
という順番です。
もちろん、NISAをすでに始めている場合は継続しながら考えて構いません。

「教育費200万円」をNISAに入れるのは?
例えば教育費として200万円を確保している場合、そのお金をすべてNISAに移す必要はありません。
小学校高学年なら、大学進学までの期間も限られています。
そのため、
数年以内に使う可能性が高いお金
と、
10年以上先に使うお金
を分けることが重要です。
→ 預貯金
→ NISA
という考え方が基本です。

小規模企業共済に入れすぎるのも注意

小規模企業共済は節税メリットが魅力ですが、
「節税になるから、できるだけ掛ければいい」
というわけではありません。
なぜなら、NISAと比べて資金の自由度が低いからです。
自営業は、
- 売上が減る
- 仕事がなくなる
- 急な設備投資が必要
- 税金の支払いが発生する
など、会社員より資金需要が変動しやすいことがあります。
そのため、
手元資金を十分確保してから、小規模企業共済の掛金を増やす
ことが大切です。
小規模企業共済は加入後に掛金を増額・減額できますが、制度上の扱いや受け取り時の条件もあるため、短期の生活資金とは分けて考えましょう。
NISAに入れすぎるのも注意
NISAにも注意点があります。
NISAは投資なので、
「必要になったときに必ず増えている」とは限りません。
例えば、
「5年後に大学進学で200万円必要」
というお金を株式中心の投資信託で運用していると、必要なタイミングで相場が下落している可能性があります。
だから、
近い将来使うお金=現金
長期で使わないお金=NISA
と分けることが大切です。
自営業40代なら、こんな使い分けがおすすめ
例えば、
生活防衛資金300万円
教育費200万円
があるとします。
この場合、すべてを投資に回すのではなく、
普通預金など
↓
預貯金など安全性を優先
↓
小規模企業共済
↓
NISA
という役割分担が考えられます。
小規模企業共済とNISA、毎月いくらにしたらいい?

例えば、毎月5万円を将来のために回せるとします。
パターン① 小規模企業共済を優先
小規模企業共済:3万円
NISA:2万円
節税と退職金準備を重視するパターンです。
パターン② NISAを優先
小規模企業共済:2万円
NISA:3万円
資産形成を重視するパターンです。
パターン③ まず現金を増やす
小規模企業共済:1万円
NISA:2万円
現金:2万円
自営業で手元資金に不安がある場合はこちらも考えられます。
小規模企業共済とNISA、どちらを優先する?
判断のポイントは3つです。
①税金を多く払っている?
所得税・住民税の負担が大きい自営業者なら、小規模企業共済の所得控除を活用するメリットがあります。
②資金を自由に使いたい?
将来の教育費や事業資金など、途中で使う可能性があるなら、NISAだけでなく現金も確保しておきたいところです。
③老後資金をどう作る?
会社員と違って厚生年金がない自営業者は、老後資金を自分で準備する重要性が高くなります。
そのため、
小規模企業共済+NISA
の両方を長期的に活用する意味があります。
小規模企業共済とNISAは「競争」させない
小規模企業共済とNISAは、どちらか一方を選ぶものではありません。
小規模企業共済は「自営業者の退職金・節税」。
NISAは「長期的な資産形成」。
役割が違うからこそ、両方を使い分けることができます。
そして40代子育て世帯なら、
現金 → 教育費 → 小規模企業共済 → NISA
という順番を基本にしつつ、家計に余裕が出てきたら小規模企業共済とNISAを並行して増やしていく方法が考えられます。
よくある質問(FAQ)
Q1.小規模企業共済は途中で解約できますか?
はい、任意解約できます。
ただし、任意解約の場合は加入期間によって受け取れる解約手当金が変わります。掛金納付月数が12か月未満の場合は解約手当金を受け取れず、20年未満で任意解約すると、原則として掛金総額を下回ります。
そのため、短期間で使う可能性があるお金を小規模企業共済に入れるのは避けたほうがよいでしょう。
Q2.小規模企業共済は元本割れすることがありますか?
あります。
特に注意したいのが任意解約です。
任意解約の場合、掛金納付月数が240か月(20年)未満だと、掛金総額を下回ります。20年以上でも、途中で掛金を増額・減額した場合は、掛金区分ごとの納付月数によって元本割れする可能性があります。
そのため、「節税になるから、とりあえず最大額を掛ける」という考え方には注意が必要です。
Q3.小規模企業共済は月いくらから加入できますか?
月額1,000円から7万円まで、500円単位で設定できます。
収入や家計の状況に合わせて掛金を決められるため、最初から上限の7万円にする必要はありません。
40代の子育て世帯なら、教育費や生活防衛資金とのバランスを考えて掛金を決めることが大切です。
Q4.小規模企業共済の掛金は途中で変更できますか?
はい、増額・減額できます。
減額する場合は月1,000円まで、500円単位で設定できます。
ただし、掛金を増額・減額した場合、任意解約時の解約手当金は掛金区分ごとに計算されます。
そのため、将来的に増額する場合も「一度増やせばすぐに元本割れしなくなる」というわけではありません。
Q5.小規模企業共済は、必要になったときに掛金を一部引き出せますか?
積み立てている掛金を自由に一部引き出すことはできません。
ただし、一定の条件を満たせば、掛金の範囲内で利用できる契約者貸付制度があります。
そのため、「老後資金として積み立てるお金」と「数年以内に使う可能性がある生活防衛資金」は分けておくことが大切です。
小規模企業共済は「貯金の代わり」ではなく、自営業者の退職金を準備するための制度です。
途中で自由に引き出せるお金ではないため、生活防衛資金や数年以内に使う教育費を確保したうえで、無理のない掛金を設定することが大切です。
まとめ
小規模企業共済とNISAには、それぞれ違ったメリットがあります。
小規模企業共済
「自営業者の退職金+節税」
掛金は全額所得控除の対象です。
NISA
「長期の資産形成」
投資による利益が非課税になります。
だからこそ、
「どっちが得?」ではなく「何のためのお金?」
で決めることが大切です。
40代の自営業・子育て世帯なら、
生活防衛資金
↓
近い将来の教育費
↓
小規模企業共済
+
NISA
というように、お金の目的ごとに置き場所を分けて考えてみましょう。

