「会社員を辞めて独立したら、思った以上に税金が高かった…」
「売上は増えているのに、手元にお金が残らない。」
このように感じる自営業者や個人事業主は少なくありません。
こんなに税金が高くなるなんて知らなかった…
実際には、自営業だけが特別に高い税率で課税されているわけではありません。しかし、会社員とは税金や社会保険料の仕組みが異なるため、負担が大きく感じやすいのです。
会社員の場合は、給与から税金や社会保険料が毎月自動的に差し引かれるため、納税を意識する機会はあまりありません。一方、自営業では自分で確定申告を行い、税金を納める必要があります。
さらに、健康保険や年金も全額自己負担となるため、「こんなに支払うの?」と驚く人も多いでしょう。
この記事では、自営業の税金が高いと感じる理由や、会社員との違い、負担を軽減する方法について詳しく解説します。
自営業の税金が高いと感じる4つの理由


① 社会保険料を自分で支払うから
会社員の場合、健康保険や厚生年金に加入しており、これらの保険料は会社と従業員が約半分ずつ負担しています。
例えば、毎月4万円の社会保険料がかかる場合でも、実際に給与から引かれるのは約2万円程度で、残りは会社が負担しています。
一方で、自営業では「国民健康保険」「国民年金」をすべて自分で支払わなければなりません。
特に国民健康保険は前年の所得によって保険料が決まるため、売上や利益が増えると翌年の保険料も大幅に上がることがあります。
そのため、「去年より収入は増えたのに、今年は保険料が高くなった」と感じるケースも少なくありません。
② 税金を一度に支払うため負担が大きく感じる
会社員は毎月給与から自動的に天引きされます。
一方、自営業は自分で納税を行います。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税(対象者のみ)
- 消費税(条件による)
など、それぞれ納付書が届きます。
納税額が数十万円になることも珍しくなく、一度に支払うため心理的な負担も大きくなります。
そのため、「税金が高すぎる」と感じやすいのです。
③ 所得が増えるほど税金も増える
日本の所得税は「累進課税制度」を採用しています。
累進課税制度とは、課税対象となる所得や財産の金額が増えるほど、段階的に高い税率が適用される仕組みです。所得の多い人がより多くの税金を負担することで、富の再分配や経済格差の是正を図る目的があります。
https://www.orixbank.co.jp/column/article/243/
つまり、稼げば稼ぐほど税率が高くなります。
例えば利益が増えると、
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険料
も合わせて増えていきます。
「売上が100万円増えたから、そのまま100万円自由に使える」というわけではありません。
利益が増えれば増えるほど、税金として納める金額も増えるため、事前に納税資金を確保しておくことが重要です。
我が家はこれを知らなかったため、えらい目にあいました(泣)
④ 消費税の納税義務が発生する場合がある
事業が軌道に乗って売上が増えてくると、消費税の納税義務が発生する場合があります。
商品やサービスを販売するときには消費税を受け取っていますが、その一部を国へ納める必要があります。
「売上は過去最高なのに、消費税の支払いで資金繰りが苦しくなった」というケースも珍しくありません。
特に売上が大きく伸びた年は、翌年以降の納税額も増える可能性があるため、日頃から納税資金を確保しておくことが大切です。
これも知らなかった…みんな、まずは資金確保しておこうね。
自営業で支払う主な税金一覧
自営業では、利益や事業規模に応じてさまざまな税金や社会保険料を支払います。
| 税金 | 内容 |
|---|---|
| 所得税 | 1年間の所得に応じて課税される国税 |
| 住民税 | 前年の所得をもとに自治体へ納める税金 |
| 国民健康保険料 | 所得に応じて金額が決まる健康保険料 |
| 国民年金 | 全国一律の保険料(毎年度見直しあり) |
| 個人事業税 | 一定の業種・所得を超えた場合に課税 |
| 消費税 | 条件を満たす課税事業者が納付 |
これらを合計すると、年間で数十万円から100万円以上になるケースもあります。
知り合いの自営業の方も税金の支払いで苦しんでいる方が多かったり、ひどくなると倒産に追い込まれたりするので知らずにいたら大変…。
会社員と自営業の税金の違い
自営業では、利益や事業規模に応じてさまざまな税金や社会保険料を支払います。
| 項目 | 会社員 | 自営業 |
|---|---|---|
| 税金の支払い | 給与から天引き | 自分で納税 |
| 健康保険 | 会社が約半分負担 | 全額自己負担 |
| 年金 | 厚生年金(会社負担あり) | 国民年金を自己負担 |
| 確定申告 | 基本不要(年末調整) | 原則必要 |
| 経費 | 限られる | 事業に必要な支出を経費計上できる |
| 節税方法 | 限られる | 控除や経費を活用しやすい |
一見すると自営業の方が負担は大きく見えますが、その分、経費計上や各種控除を活用することで、課税所得を抑えられるというメリットもあります。
自営業でもできる節税方法


「税金は仕方ないもの」と思っていませんか?
確かに税金をゼロにすることはできませんが、制度を正しく活用することで、納める税金を合法的に抑えることは可能です。
ここでは、自営業者や個人事業主が実践しやすい代表的な節税方法を紹介します。
青色申告を利用する
自営業で節税を考えるなら、まず活用したいのが青色申告です。
青色申告特別控除とは、確定申告を「青色申告」で行う個人事業主や不動産所得者が、所得金額から最高65万円(要件を満たす場合)を差し引ける制度です。課税対象の所得額が減るため、所得税だけでなく住民税や国民健康保険料も安くなる大きな節税メリットがあります。
https://www.freee.co.jp/kb/kb-blue-return/special/
帳簿を適切に作成し、電子申告(e-Tax)などの要件を満たすと、最大65万円(条件によっては55万円または10万円)の控除を受けられます。
例えば、事業所得が500万円ある場合、65万円の控除を受けられれば、課税対象となる所得を435万円まで減らせるため、所得税や住民税の負担を軽減できます。
さらに青色申告には次のようなメリットもあります。
- 赤字を翌年以降に繰り越せる
- 家族への給与を必要経費にできる場合がある
- 30万円未満の減価償却資産を一括で経費計上できる制度がある(要件あり)
長く事業を続けるなら、青色申告を選択するメリットは非常に大きいといえるでしょう。


控除額と適用される要件
満たす条件によって、控除額は3つの段階に分かれます。
https://www.freee.co.jp/kb/kb-blue-return/special/
| 控除額 | 主な適用要件 |
|---|---|
| 65万円控除 | ・事業所得または不動産所得(事業規模)がある ・複式簿記で記帳している ・「貸借対照表」と「損益計算書」を添付している ・期限内に確定申告をしている ・e-Tax(電子申告)または「優良な電子帳簿保存」を行っている |
| 55万円控除 | 65万円控除の要件のうち、最後の「e-Tax(電子申告)等」を行わず、書面で提出した場合 |
| 10万円控除 | 簡易簿記(単式簿記)で記帳している、または不動産の貸付が事業規模に満たない場合 |
利用するための事前準備
制度を利用するには、事前に所轄の税務署へ所得税の青色申告承認申請手続を行う必要があります。
- 新規開業の場合:開業日から2か月以内(またはその年の3月15日まで)
- 白色申告から切り替える場合:申告したい年の3月15日まで
必要経費を漏れなく計上する
節税で最も基本となるのが、必要経費を正しく計上することです。
必要経費とは、事業を行うために必要な支出のことです。
経費を適切に計上することで、課税対象となる所得が減り、その結果、所得税や住民税などの負担を抑えられます。
例えば、以下のような支出は事業内容によって経費になる可能性があります。
- パソコンやタブレットなどの仕事用機器
- スマートフォンやインターネットなどの通信費
- 電車代やガソリン代などの交通費
- CanvaやAdobeなどのデザインソフト利用料
- ChatGPTや会計ソフトなどのサブスクリプション費用
- 仕事に必要な書籍やセミナー参加費
- 名刺やチラシなどの印刷費
- 打ち合わせで利用したカフェ代(内容による)
- 自宅兼事務所の場合は家賃や電気代の一部(家事按分)
例えば、年間50万円分の経費を漏れなく計上できれば、その分だけ課税所得を減らすことができます。
ただし、プライベートな支出を無理に経費にすると税務調査で否認される可能性があります。
「事業に必要だったことを説明できるか」を基準に考えることが大切です。


小規模企業共済に加入する
将来への備えと節税を同時に行いたい人に人気なのが小規模企業共済です。
これは個人事業主や小規模企業の経営者向けの退職金制度のようなもので、毎月積み立てを行い、廃業や引退時などに共済金を受け取ることができます。
最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象になることです。
例えば、毎月5万円(年間60万円)を積み立てた場合、その60万円を所得から差し引くことができます。
その結果、所得税や住民税の負担を軽減できるため、節税効果が期待できます。
また、積み立てたお金は将来の資金として活用できるため、「節税しながら老後資金を準備したい」という人にもおすすめです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する
老後資金を準備しながら節税したいなら、iDeCo(イデコ)も有力な選択肢です。
iDeCoは、自分で掛金を積み立てて運用する年金制度で、掛金が全額所得控除の対象になります。
例えば、年間24万円を積み立てると、その24万円分だけ課税所得を減らせるため、所得税や住民税の節税につながります。
さらに、
- 運用中の利益が非課税
- 受け取り時にも一定の税制優遇がある
など、長期的な資産形成にも適しています。
ただし、原則60歳まで引き出せないため、生活資金とは分けて考えることが大切です。


税金を払えない場合はどうする?
「思っていた以上に税金が高くて支払えない…」
そんなときに最も避けたいのが、何もせず放置することです。
税金を滞納すると、延滞税や加算税が発生し、最終的には財産の差し押さえにつながる可能性もあります。
支払いが難しいと感じたら、納期限までに税務署や自治体へ相談しましょう。
状況によっては、「分割納付」「納税猶予」「換価の猶予」などの制度を利用できる場合があります。
また、来年以降も同じ状況にならないよう、毎月売上の一部を納税資金として積み立てておくことも重要です。
目安としては、利益の20〜30%程度を税金用の口座に確保しておくと安心です(実際の税負担は所得や家族構成などによって異なります)。


まとめ
自営業は「会社員より税率が高い」というわけではありません。
しかし、
- 健康保険や年金などの社会保険料を全額自己負担する
- 所得税や住民税などを自分で納付する必要がある
- 所得が増えるほど税金や保険料も増える
- 納税が一度に集中することが多い
といった仕組みから、会社員よりも負担が大きく感じやすい働き方です。
一方で、自営業には会社員にはない節税のメリットもあります。
- 青色申告による特別控除
- 必要経費の計上
- 小規模企業共済
- iDeCo
- 各種所得控除の活用
これらの制度を上手に利用すれば、税負担を抑えながら将来の資産形成にもつなげられます。
税金は「払うだけのもの」ではなく、制度を正しく理解して活用することで、家計や事業の負担を軽減できるものです。
毎年の確定申告をきっかけに、自分が利用できる控除や制度を見直し、計画的な資金管理を行うことが、安定した事業運営への第一歩となります。










