ジャングリア沖縄の赤字から考える「大型施設はなぜ集客に苦戦するのか?」

海洋博公園から見た海の見える景色

「これだけ大きな施設をつくれば、多くの人が訪れるはず」

そんな期待を背負ってオープンした大型施設でも、実際には集客に苦戦するケースがあります。

2025年7月に沖縄県北部に開業した「ジャングリア沖縄」も、その一つとして注目されています。

開業1年目の来場者数は約100万人。

当初、採算の目安とされていた約150万人には届きませんでした。運営会社の親会社であるジャパンエンターテイメントホールディングスは、2026年9月24日に約173億円の最終赤字となったことが報じられています。

では、なぜこれほど大きな施設でも、集客に苦戦するのでしょうか。

今回はジャングリア沖縄の事例から、「大型施設の集客が難しい理由」について考えてみます。

目次

ジャングリア沖縄で何が起きている?

沖縄の海

ジャングリア沖縄は、沖縄本島北部の今帰仁村に開業した大型テーマパークです。

やんばるの自然を生かしたアトラクションなどを楽しめる施設として、大きな注目を集めました。

開業前から話題となり、沖縄北部の観光や経済を活性化する存在としても期待されていました。

しかし、開業から1年間の来場者数は約100万人。

当初、採算が見込めるとされていた約150万人を下回りました。

さらに、開業直後にはアトラクションの待ち時間が長くなったり、暑さや休憩場所の少なさなどに対する不満がSNSで広がったりするなど、施設の運営面でも課題が指摘されました。

その後、運営会社は待ち時間の短縮やチケットの見直しなど、さまざまな改善策を進めています。

実際、開業当初に比べて満足度は改善しているとの報道もあります。

つまり、現在は「開業時の課題を改善しながら、2年目以降の集客を目指している段階」と見ることができます。

「沖縄に観光客が少ない」わけではない

ここで興味深いのが、沖縄全体の観光客数です。

2025年度の沖縄県への入域観光客数は約1,093万人となり、過去最多を更新しました。

つまり、

「沖縄そのものに観光客が来ていない」

という状況ではありません。

それでもジャングリアの集客には課題が残りました。

ここから見えてくるのが、

「人がいること」と「その施設に人が行くこと」は別問題

ということです。

観光客が多い場所でも、その人たちが必ずしも特定の施設を訪れるわけではありません。

これは大型施設だけではなく、ショッピングモール、ホテル、飲食店、観光施設などにも共通する話です。

大型施設が集客に苦戦する5つの理由

電卓を使用して計算する

では、なぜ大型施設は集客が難しいのでしょうか。

1.「話題になる」と「行きたい」は違う

大型施設がオープンすると、テレビやSNSで大きく取り上げられます。

「すごい施設ができた」

「一度は行ってみたい」

と思う人も多いでしょう。

しかし、ここには大きな落とし穴があります。

認知度が高いことと、実際にお金を払って訪れることは別です。

ジャングリアについても、2026年7月に首都圏在住者を対象に実施された調査では、認知率は約7割だった一方、「行きたい」と回答した人は26.5%でした。

「知っているけれど、わざわざ行くほどではない」

という人が一定数いることが分かります。

これは大型施設にとって非常に重要なポイントです。

広告によって「知ってもらう」ことはできます。

しかし、

「実際に行ってみたい」と思ってもらうことは、別のハードルがあります。

2.「そこに行く理由」が必要になる

特に観光地にある施設では、競争相手は同じジャンルのテーマパークだけではありません。

沖縄なら、

  • 美しい海
  • 沖縄美ら海水族館
  • 首里城
  • 国際通り
  • ホテルでゆっくり過ごす
  • グルメ
  • マリンアクティビティ

など、旅行中の時間を取り合う相手がたくさんあります。

旅行者には限られた時間しかありません。

その中で、

「今日はここに行こう」

と思ってもらわなければなりません。

実際、ジャングリアについて行きたくない理由として、「沖縄まで行くのが大変」「料金が高い」「沖縄では他の観光を優先したい」などが挙げられています。

つまり、

「沖縄に行ったらジャングリアにも行く」

という状態をつくるには、単なる話題性以上の魅力が必要になります。

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3.一度の失敗がSNSで広がってしまう

大型施設にとって、開業直後は非常に重要です。

多くの人が訪れる一方で、運営に慣れていない時期でもあります。

ジャングリアでは開業当初、一部アトラクションで待ち時間が300分を超えるケースがありました。

さらに、屋外施設が多いにもかかわらず、屋根付きの休憩場所が少ないことなども問題になりました。

こうした体験は、現在ではSNSで一気に広がります。

「楽しかった」という投稿だけではなく、

「暑かった」

「待ち時間が長かった」

「思ったより楽しめなかった」

といった体験も、多くの人に共有されます。

すると、実際に行っていない人まで、

「混んでいるらしい」

「大変そう」

「今は行かなくてもいいかな」

と思ってしまう可能性があります。

一度ついたイメージを変えるには、時間がかかります。

そのため大型施設では、

開業時のオペレーションそのものがマーケティングになる

とも言えます。

4.巨大な施設ほど「固定費」が重くなる

もう一つ忘れてはいけないのが、お金の問題です。

大型施設は、建設して終わりではありません。

施設を維持するためには、

  • 人件費
  • 電気代
  • 水道代
  • 設備の維持費
  • 修繕費
  • 清掃費
  • 広告宣伝費
  • システム費用
  • 保険などの諸経費

など、さまざまな費用が継続的に発生します。

つまり、

お客さんが少ない日でも、一定のお金が出ていきます。

これが大型施設の難しさです。

例えば、1日に1,000人しか来ない日でも、施設の規模が大きければ、それに合わせてスタッフや設備をすべて小さくすることは簡単ではありません。

だからこそ、

「たくさんのお客さんが来ることを前提にしたビジネスモデル」

では、想定を下回ったときの影響が大きくなります。

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5.「年間○万人」という目標を達成する難しさ

年間150万人という数字だけを見ると、

「150万人も来るの?」

と思うかもしれません。

しかし、年間150万人を365日で割ると、1日あたり約4,100人です。

つまり、年間150万人を達成するためには、平均して毎日4,000人以上の来場が必要になります。

もちろん、実際には繁忙期と閑散期があります。

夏休みや大型連休には多くの人が来ても、平日に大きく落ち込めば、年間目標の達成は難しくなります。

沖縄タイムスも、年間150万人を達成するには1日あたり約4,000人が必要になると指摘しています。

大型施設にとって、

「年間で何人来るか」だけでなく、「閑散期にどれだけ来てもらえるか」

が非常に重要なのです。

「大きくつくれば人が来る」とは限らない

車の渋滞

ここまで見てくると、大型施設の集客には一つの共通点が見えてきます。

それは、

施設の大きさと集客力は同じではない

ということです。

どれだけ広大な施設をつくっても、

「誰が」

「なぜ」

「いつ」

「いくら払って」

「何度も」

来てくれるのか。

ここまで考えなければ、安定した集客にはつながりません。

逆に、規模が小さくても、

「ここにしかない」

「また来たい」

と思ってもらえる施設には、リピーターが生まれます。

実際、ジャングリアについても、今後の集客にはリピーターの存在が重要だと指摘されています。

大型施設だけの話ではない

これは、私たちの暮らしにも少し似ています。

例えば家計でも、

「収入が増えれば安心」

と思って、住宅や車、保険などの支出をどんどん増やしてしまうと、収入が少し減っただけで家計が苦しくなることがあります。

大切なのは、

「どれだけ大きくするか」ではなく、「無理なく維持できるか」

という視点です。

大型施設も同じです。

大規模な設備を持つほど、維持するためのお金も必要になります。

だからこそ、

「最大でどれくらい稼げるか」

だけではなく、

「想定よりお客さんが少なくても耐えられるか」

という視点が重要になります。

私たちが考えたい「想定外への備え」

通帳とお金

ジャングリアの事例を見ていると、事業でも家計でも、

「うまくいく前提」で計画しすぎないこと

の大切さを感じます。

例えば家計なら、

  • ボーナスが必ず出る
  • 給料が毎年上がる
  • 副収入が毎月入る
  • 大きな出費は発生しない
  • 車は壊れない
  • 家族が病気やケガをしない

と考えてしまうと、どこか一つが崩れたときに苦しくなります。

だから私は、

「予定どおりにならなかった場合でも、生活を続けられるか?」

という視点を持っておきたいと思っています。

これは大型施設の経営だけでなく、私たちの家計にも通じる考え方ではないでしょうか。

まとめ

ジャングリア沖縄の初年度は、当初想定された来場者数に届かず、厳しいスタートとなりました。

一方で、沖縄全体の観光客数は過去最多となっていることから、「沖縄に人が来なかった」という単純な問題ではありません。

大型施設が集客するためには、

  • 知名度だけではなく「行きたい理由」が必要
  • 開業直後の体験が施設のイメージを左右する
  • SNS時代は悪い体験も一気に広がる
  • 大型施設ほど固定費が重くなる
  • 年間目標だけではなく閑散期の集客も重要
  • 新規客だけでなくリピーターを増やす必要がある

といった複数の課題があります。

そしてこれは、企業だけの話ではありません。

家計でも、

「収入が増える前提」ではなく、「想定より収入が少なくなっても生活できる仕組み」をつくっておく。

そんな考え方が、これからますます重要になっていくのかもしれません。

ジャングリア沖縄が2年目以降、どのように集客を改善していくのか。

今後の動きにも注目したいところです。

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この記事を書いた人

はじめまして。
「くらしデザインラボ」を運営している「はな」です。
自営業妻 /NISAでオルカン&SP500積み立て中 / 副業歴12年/ 副業のデザインと動画編集で年約50万円の副収入を達成!

貯蓄苦手な主婦が在宅ワークをしながら資産を積み立て中。

このブログでは、40代からの暮らしをもっと豊かにするために、お金・資産形成・働き方・ライフデザインに役立つ情報をインデックス投資や副業を実践しながら学んだ経験も交え、初心者にも分かりやすく発信しています。

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