親がまだ元気なうちは、「介護にかかるお金」について考える機会はあまりないかもしれません。
しかし、40代になると、自分の老後だけでなく、親の介護についても少しずつ考えておきたい時期です。
介護が必要になった場合、
- 介護サービスの利用料
- 介護用品や日用品
- 住宅のリフォーム
- 通院や移動にかかる費用
- 介護施設の利用料
- 家族が介護することによる交通費や収入減
など、さまざまな費用が発生する可能性があります。
さらに、介護が長期化すると、毎月の負担も積み重なっていきます。
この記事では、親の介護にどのようなお金がかかるのか、介護費用は誰が負担するのか、そして40代からできる備えについて整理します。
親の介護にかかる費用はどのくらい?

介護にかかる費用は、親の介護状態や利用するサービス、在宅介護か施設介護かによって大きく変わります。
そのため、「親の介護には○万円必要」と一律に考えることはできません。
まずは、介護にかかるお金を大きく3つに分けて考えてみましょう。
1.毎月かかる介護費用
代表的なのが、介護保険サービスを利用したときの自己負担です。
たとえば、
- 訪問介護
- デイサービス
- 訪問看護
- ショートステイ
- 福祉用具の利用
- 通所リハビリテーション
などがあります。
利用するサービスの種類や量、介護度などによって負担額は変わります。
介護保険を利用することで費用を抑えられる場合がありますが、自己負担がなくなるわけではありません。
2.介護が始まるときにまとまってかかる費用
介護生活が始まると、毎月の費用だけでなく、最初にまとまったお金が必要になることもあります。
たとえば、
- 手すりの設置
- 段差の解消
- トイレや浴室の改修
- 車いす
- 介護ベッド
- 歩行器
- その他の福祉用具
などです。
自宅で生活を続ける場合は、親の身体状況によって住宅を使いやすくする必要が出てくることがあります。
3.家族側にかかる費用
意外と忘れやすいのが、介護をする家族側に発生する費用です。
たとえば、親と離れて暮らしている場合、
- 実家までの交通費
- 病院への付き添い
- 介護施設との面談に行くための交通費
- 親の家の片付け費用
- 仕事を休むことによる収入減
- 家事や介護を外部サービスに依頼する費用
などが考えられます。
つまり、親の介護にかかるお金は、介護サービスの自己負担額だけではありません。

在宅介護と施設介護では費用が違う

介護について考えるとき、「自宅で介護するのか」「施設に入るのか」も大きなポイントです。
在宅介護の場合
在宅介護では、訪問介護やデイサービスなどを利用しながら自宅で生活を続けます。
施設に入居する場合と比べると、住居費や施設利用料が抑えられるケースがあります。
一方で、家族が介護を担う時間が増えることがあります。
特に遠方に住んでいる子どもが介護する場合は、交通費や仕事との両立が問題になることもあります。
施設に入居する場合
介護施設を利用する場合は、
- 施設の利用料
- 食費
- 居住費
- 介護サービスの自己負担
- 日用品費
- 医療費
などを考える必要があります。
施設の種類や立地、介護度、居室のタイプなどによって費用は大きく異なります。
そのため、「施設に入れば月○万円」と単純には考えられません。
親が施設での生活を希望している場合は、元気なうちから候補となる施設の費用を調べておくと安心です。
介護費用は誰が払う?

ここは、40代から考えておきたい重要なポイントです。
親の介護が必要になったからといって、必ずしも子どもがすべての費用を負担するわけではありません。
まず確認したいのは、
「親自身のお金でどこまで介護費用をまかなえるか」
ということです。
確認したいのは、
- 年金収入
- 預貯金
- 保険
- その他の収入
- 不動産などの資産
です。
親自身の収入や資産、利用できる公的制度などを確認したうえで、それでも不足する場合に家族でどのように負担するかを考えていきます。
「親の介護だから、子どもが準備しておかなければ」と考えすぎるのではなく、まずは親のお金の状況を把握することが大切です。

40代から確認しておきたい「親のお金」
親が元気なうちは、お金の話をすることに抵抗があるかもしれません。
しかし、介護が始まってから「親の年金はいくら?」「預金口座はどこ?」と調べるのは簡単ではありません。
できれば、親が元気なうちに少しずつ確認しておきましょう。
年金はいくら受け取っている?
毎月の年金額が分かれば、介護費用を考えるときの大きな目安になります。
「毎月の生活費を年金でどこまでまかなえているのか」も一緒に確認しておくとよいでしょう。
預貯金はどのくらいある?
すべての金額を細かく聞く必要はありません。
ただ、
「介護が必要になったときに使えるお金はあるのか」
ということは、家族で共有しておきたい情報です。
保険には加入している?
医療保険や生命保険だけでなく、介護に関連する保障がある場合もあります。
加入している保険会社や保険証券などの保管場所を確認しておくと、いざというときに役立ちます。
どんな介護を希望している?
お金の問題と同じくらい大切なのが、親本人の希望です。
「介護が必要になったらどうしたい?」
と、元気なうちに聞いておきましょう。
たとえば、
- できるだけ自宅で暮らしたい
- デイサービスを利用したい
- 家族に介護してほしい
- 施設に入居したい
など、人によって希望は違います。
兄弟姉妹がいるなら介護について話しておく
兄弟姉妹がいる場合は、介護が始まってから話し合うのではなく、元気なうちに考えを共有しておくことも大切です。
たとえば、
- 誰が親の近くに住んでいるのか
- 病院への付き添いは誰がするのか
- 親の手続きは誰が担当するのか
- 介護費用は親のお金でどこまで負担するのか
- 不足した場合はどうするのか
などです。
兄弟姉妹の間で「介護は誰か一人がするもの」と決めつけてしまうと、負担が偏ってしまうことがあります。
実際の介護では、お金だけでなく「時間」や「手間」も大きな負担になります。

40代は「親の介護」と「自分たちのお金」が重なる時期

40代になると、
- 子どもの教育費
- 住宅費
- 自分たちの老後資金
- 車の買い替え
- 親の介護
など、さまざまなお金の問題が重なってきます。
特に、親の介護が始まる時期と子どもの教育費が大きくなる時期が重なる可能性もあります。
そのため、
「親の介護費用として何百万円も貯金しておかなければ」
と考えるより、
「親自身のお金」
「公的な介護制度」
「家族が負担するお金」
を分けて考えることが大切です。
40代からできる介護費用への備え
では、今から何をしておけばよいのでしょうか。
1.親のお金の状況を確認する
まずは、
- 年金
- 預貯金
- 保険
- 不動産
- 毎月の生活費
などを、分かる範囲で確認しておきます。
2.介護保険について知っておく
介護が必要になった場合には、介護保険によるサービスを利用できる場合があります。
「介護が必要になったら、まずどこに相談すればいいのか」だけでも知っておくと安心です。
3.親の住んでいる地域の介護サービスを調べる
親が住んでいる市区町村には、介護に関する相談窓口があります。
地域によって利用できるサービスや施設も異なるため、親が住んでいる地域の情報を一度確認しておくとよいでしょう。
4.家族で介護について話す
介護は、実際に必要になってから話し合うと、気持ちの余裕がなくなりがちです。
「もし介護が必要になったらどうしたい?」
という話を、普段の会話の中で少しずつしておきましょう。
5.自分たちの家計も整えておく
親の介護に備えることと同時に、自分たちの家計を整えておくことも重要です。
毎月の固定費を見直したり、無理のない範囲で貯蓄や資産形成を続けたりしておけば、突然まとまった支出が発生したときにも対応しやすくなります。

親の介護費用は「いくら必要か」だけで考えない
親の介護について考えると、
「いくら貯めておけばいい?」
と金額ばかり気になってしまいます。
しかし、介護にかかる費用は、介護の状態や利用するサービス、親の収入や資産によって大きく変わります。
だからこそ、今の段階で「介護費用として○万円貯める」と決めるよりも、
親のお金を把握すること
親がどんな介護を希望しているかを知ること
介護保険などの公的制度について知ること
家族で役割や費用について話しておくこと
から始めるほうが現実的です。
まとめ|40代から少しずつ「親の介護のお金」を考えておこう
親が元気なうちは、介護について話すのは少し気が重いかもしれません。
「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちに、突然介護が必要になることもあります。
だからこそ、40代の今から少しずつ準備しておきたいものです。
特に確認しておきたいのは、
- 親の年金はいくらなのか
- 預貯金や保険はどうなっているのか
- どんな介護を希望しているのか
- 自宅と施設のどちらを希望しているのか
- 兄弟姉妹でどのように協力するのか
- 介護費用が不足した場合はどうするのか
といったことです。
介護に備えるというと、「まとまったお金を貯めること」ばかり考えてしまいます。
でも、本当に大切なのは、お金のことを家族で話せる状態にしておくことなのかもしれません。
親の介護と自分たちの生活を無理なく両立するためにも、40代のうちから少しずつ準備しておきたいですね。

