「子どもの大学進学に向けて教育資金を準備したい」
そう考えたとき、候補になるのがNISAと学資保険です。
どちらも教育費を準備する方法ですが、仕組みは大きく異なります。
NISAは、投資によって資産を増やすことを目指す制度。
一方、学資保険は、保険料を払いながら将来の教育資金を準備する保険商品です。
では、子どもの教育費を準備するなら、どちらを選べばいいのでしょうか。
結論からいうと、「どちらが絶対に正解」というものではありません。
教育費を使うまでの期間や、値下がりしても待てるか、親に万一のことがあった場合の保障をどう考えるかによって選択肢は変わります。
この記事では、NISAと学資保険の違いを比較しながら、教育資金の準備方法を考えていきます。
NISAと学資保険の違い

まずは、それぞれの特徴を整理してみましょう。
| NISA | 学資保険 | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 資産形成 | 教育資金の準備+保障 |
| 元本保証 | なし | 商品による |
| 運用による増加 | 期待できる | 基本的に大きく増やす商品ではない |
| 値下がり | あり | 基本的になし※ |
| 途中解約 | 可能 | 不利になる場合がある |
| 資金の使いやすさ | 比較的高い | 商品による |
| 親の死亡時の保障 | なし | 商品によってあり |
| 税制上のメリット | 運用益が非課税 | 商品による |
※学資保険でも、途中解約時などには払い込んだ保険料を下回る場合があります。
NISAは「投資」、学資保険は「保険」という違いを理解しておくことが大切です。

NISAで教育資金を準備するメリット

現在のNISAでは、18歳以上の人がNISA口座を開設できます。
つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託などが対象です。
NISAでは、投資によって得られた利益が非課税になります。
通常、投資で得た利益には税金がかかりますが、NISAでは一定の範囲内で非課税となります。
現在のNISAは、
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠:年間240万円
- 年間合計:最大360万円
- 非課税保有限度額:1,800万円
という制度になっています。
NISAのメリット①資産が増える可能性がある
教育費を現金だけで貯める場合、基本的には預金金利による増加しか期待できません。
一方、NISAで投資信託などに積み立てれば、運用によって資産が増える可能性があります。
例えば、毎月3万円を6年間積み立てると、元本は、
3万円×12カ月×6年=216万円
です。
運用結果によっては、元本216万円を上回る可能性があります。
ただし、ここで注意したいのが、投資には元本割れの可能性があることです。
「教育費だから必ず増える」と考えてはいけません。

NISAのメリット②途中で使いやすい
教育費は、大学入学時だけに必要になるわけではありません。
高校受験、大学受験、入学金、授業料、パソコンなど、まとまった支出が発生する可能性があります。
NISAで保有している金融商品は、必要になったときに売却して現金化できます。
金融庁もNISAの活用例として、積立を続けながら必要な時期に資産を取り崩すケースを紹介しています。
ただし、必要な時期に相場が下落している可能性があることには注意が必要です。
NISAのデメリットは「教育費に向いていない時期がある」こと
教育資金をNISAだけで準備する場合、最も注意したいのがこれです。
例えば、
「子どもが大学に入る直前に株価が大きく下落した」
ということも考えられます。
老後資金なら、
「今は下がっているけれど、10年、20年待とう」
という選択ができます。
しかし、教育費はそうはいきません。
大学入学まであと1年なのに、
「株価が戻るまで待とう」
とは簡単には言えないからです。
そのため、教育費のすべてを投資に回すのではなく、使う時期が近づいたお金は現金に移していくという考え方が重要です。

学資保険のメリット
学資保険は、毎月保険料を支払い、子どもの進学時などに祝い金や満期保険金を受け取る仕組みの商品です。
商品によっては、契約者である親に万一のことがあった場合、それ以降の保険料の払い込みが免除され、予定していた教育資金を受け取れる「保険料払込免除」の仕組みがあります。
ここがNISAとの大きな違いです。
学資保険のメリット①強制的に教育費を準備できる
「貯金しようと思っても、つい生活費に使ってしまう」
という人には、学資保険の強制力がメリットになります。
毎月決まった保険料を支払うことで、教育資金を別に確保できます。
学資保険のメリット②親に万一のことがあった場合に備えられる
学資保険を検討する理由として重要なのが、保障です。
契約内容によっては、親に万一のことがあった場合に、それ以降の保険料負担をなくしながら教育資金を準備できます。
つまり、
「貯蓄」+「親の万一への備え」
という役割を持たせられるのです。
ただし、保障内容は商品によって違うため、契約前に必ず確認しましょう。
学資保険のデメリット
一方で、学資保険にも注意点があります。
途中解約すると元本割れする可能性
学資保険は、契約期間の途中で解約すると、払い込んだ保険料より解約返戻金が少なくなる場合があります。
教育費のために貯めていたのに、
「急にお金が必要になったから解約したら、思ったより戻ってこなかった」
というケースも考えられます。
そのため、学資保険に入るなら、途中で使う可能性のあるお金とは分けて考えることが大切です。
NISAと学資保険、どちらが教育費に向いている?

ここまでの内容を整理すると、
NISAが向いている人
- 大学まで10年以上ある
- 教育費の一部を運用したい
- 値下がりする可能性を理解している
- 必要な時期まで長期で運用できる
- 資金を柔軟に使いたい
学資保険が向いている人
- 強制的に教育費を貯めたい
- 投資による値下がりが不安
- 親に万一のことがあった場合の保障も欲しい
- 満期まで使わないお金を確保したい
という違いがあります。
「NISAか学資保険か」ではなく、組み合わせる方法も
教育資金を準備するとき、必ずしもNISAと学資保険のどちらか一方を選ぶ必要はありません。
例えば、
教育費の土台
→ 預貯金
10年以上先に使う教育費
→ NISA
親に万一のことがあった場合の保障
→ 生命保険など
というように、役割を分ける方法もあります。
この考え方なら、投資に偏りすぎることも、学資保険だけに資金を固定することも避けられます。
小学生から大学費用を準備するなら?

ここからが重要です。
同じ教育資金でも、
「子どもが0歳」
と
「子どもが小学6年生」
では、選択肢が変わります。
大学まで15年以上ある家庭なら、長期運用を取り入れる余地があります。
一方、大学まであと数年という家庭では、投資に回す割合を慎重に考える必要があります。
例えば、小学校高学年なら、
児童手当+預貯金+一部NISA
というように、教育費を複数の方法で準備する考え方が現実的です。
児童手当は現在、高校生年代まで支給され、3歳以上高校生年代までは原則として1人月1万円です。
受け取った児童手当をそのまま生活費に使うのではなく、教育費として別口座に移すだけでも、大学資金づくりにつながります。
児童手当を教育費に回すといくらになる?

例えば、3歳以上高校生年代までの子どもなら、原則として月1万円です。
年間では、
1万円×12カ月=12万円
になります。
兄弟2人なら、
12万円×2人=年間24万円
です。
児童手当を教育費として貯めていけば、まとまった資金になります。
ただし、実際にあと何円受け取れるかは、お子さんの年齢や誕生日によって変わります。
教育費はいくら準備すればいい?

大学費用は、進学先によって大きく変わります。
例えば、
- 国公立大学
- 私立大学
- 文系
- 理系
- 自宅通学
- 一人暮らし
では、必要になる金額が大きく異なります。
そのため、
「教育費は○○万円あれば絶対に足りる」
とは言えません。
まずは、
①大学の学費 だけでなく、
②受験費用
③入学金
④大学までの塾・予備校費用
⑤パソコンなどの教材費
⑥一人暮らしになった場合の生活費
まで考えておくと安心です。
教育資金は「いつ使うか」で貯め方を変える
教育費の準備で大切なのは、
「いくら貯めるか」だけではありません。
「いつ使うお金なのか」を考えることです。
例えば、
→ NISAを活用した長期・積立投資を検討
→ 現金と投資を組み合わせる
→ 必要資金は現金中心にする
→ 近いうちに使うお金を投資に置きすぎない
というように、使う時期が近づくほど、値動きのある資産から現金へ移していく考え方が重要です。
「NISAなら絶対に学資保険より得」は間違い
NISAと学資保険を比較するときに、
「NISAのほうが増えるから学資保険は不要」
と考えるのは少し危険です。
NISAは投資なので、将来の運用成果は保証されません。
反対に学資保険は、商品によっては大きな運用益を期待するものではありませんが、教育資金を計画的に準備しながら保障を持てるという特徴があります。
つまり、
NISA=増やすことを目指す
学資保険=貯める+保障
と考えると分かりやすいでしょう。
まとめ:教育費は「NISAだけ」「学資保険だけ」にしなくてもいい
子どもの教育資金を準備するとき、NISAと学資保険にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
大切なのは、
「どちらが得か」ではなく、「いつ使うお金なのか」から逆算することです。
教育費の準備なら、
- 児童手当を貯める
- 預貯金で大学資金を確保する
- 長期で使わないお金はNISAで運用する
- 必要なら学資保険や生命保険で保障を確保する
という方法があります。
特に子どもが小学生になっている家庭では、大学までの残り年数を考えて、「増やすお金」と「減らしたくないお金」を分けることが重要です。
教育資金は、投資だけに頼る必要も、学資保険だけに頼る必要もありません。
家庭の収入や貯蓄、子どもの年齢、大学進学の希望に合わせて、自分たちに合った方法を選びましょう。
※NISAは元本保証ではなく、投資した金融商品の価格変動によって元本割れする可能性があります。学資保険も商品・契約内容によっては途中解約時などに元本割れする場合があります。具体的な商品を契約する際は、契約内容や手数料、保障内容などを確認してください。
